
早めに!介護とは何かを考えてみる
会社でのプレッシャーや定年後の将来。
定年退職が数年後に迫る時期には、自分のライフスタイルに加えて、高齢者の介護も考えなければいけないこともあるのが現実です。
生活するためには働かなきゃいけないのに、介護も考えなきゃいけないのかと思うと、不安やストレスになるでしょう。
それでも、大切な家族のためを思えばこそ、介護する最善の環境は作っておきたい、という人がたくさんいます。

介護とは
介護とは、老齢の人やさまざまな障害のために、毎日の生活で必要な動作ができるようにサポートすることです。
食事や家事の手伝い、健康管理や排泄の世話などを含めた日常生活での動作を助けることが含まれます。
また、必要に応じて社会活動や施設への通所など、さまざまなサポートが含まれるでしょう。
こうしたサポートが必要になるのが、「毎日」ということもあれば「週に数回」ということもあります。
介護と定年が重なるので負担が増えることも
一般的には、介護が必要なのは70代や80代とされています。
つまり、70代から80代の親の世話を考える人の年齢は「40代」や「50代」ということになるでしょう。
ですから、介護を考えるときに、自分自身の定活(定年後の準備のための活動)と重なっているケースが多いのです。
ところが、介護が必要になる年齢は「平均◯◯歳」ということはありません。
定年してから10年以上すぎてから介護が必要になったという人もいれば、通勤しなくなったらすぐに介護が必要になったというケースもあります。
ときには、まだ勤めているにもかかわらず、疾病や体調の変化ゆえに退職せざるを得なくなり、介護が必要になることもあるのです。
つまり、60代でも介護が必要になるケースもあれば、80代から90代になって介護を始めるということもあります。
両親や配偶者、パートナーが今は健在だとしても、「予見し得ないことが起こる」ことがあります。
突然始まる介護には、ストレスが増し加わりやすいので、早めに介護について考えておくことが必須です。
介護は「ストレス」と感じる人は7割
家族の介護なら負担は少ないと思っていたことはありませんか。
それが、実際に初めてみたらストレスになったり大変だと感じたりすることが多かったという人が多いもの。
なぜなら、世話をする立場の「介護する人」と、世話をしてもらう立場の「介護される人」の2つの状況が関係しているからです。
家族を思って一生懸命しているつもりなのに、介護する人と介護される人で気持ちのすれ違いが起きて、双方かどちらかがストレスを感じることがあります。
つまり、家族の介護であってもストレスが伴うことがあり得るのです。
「介護すると決めてたんだから」「ストレスだと思いたくない」という介護をする人。
「大変な思いをさせたくない」「疲れさせたくない」という介護される人。
どちらの立場も「家族」を思うがゆえの優しい本心です。
といっても、高齢者の介護となると、体調を崩して休んでいる人の看病や骨折して動けない人のお世話とは違うことが多いもの。
そのため、慣れないことや介護作業をした後には、ストレスを感じたり疲労を感じたりしても当然。
厚生労働省の調査でも、50代のストレスの原因は「病気や介護」とされています。
介護はそういうもの、つまり「ストレス」や「疲れ」を感じるものなのです。
参考:https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/20-21-h28.pdf(P.35〜36)
介護で大切な「認める」ということ
介護は大変なことという事実を認めることが大切です。
仲の良い親しい親子、シングルファーザーやシングルマザーで育った環境であれば、介護が大変なことと認めるのは、なおさら難しいことがあります。
今まで育ててくれた高齢の親の介護が大変だなんて認められない……
こういう気持ちになる人も少なくありません。
とはいえ、この気持ちゆえに、さらにストレスを感じることもあります。
また、介護がストレスになったという知人や同僚の話を聞いていると、反感を持つ人もいます。
「高齢の親の世話がストレスなんて」「ああいう風にはなりたくない」
介護する側の愚痴を聞いてしまうと、家族を想う気持ちが介護からストレスを認められないこともあるのです。
さらに、仕事と介護のバランスが難しく負担に感じてくることもあるのです。
高齢になった親の介護は仕事よりも大切と思っていたはず……
ところが、ワーキングスタイルは勤務先や顧客との関係もあって、簡単に調整できないこともあります。
また、介護の状況も日ごとに変わることもあれば、週ごと、月ごとに変化することがあるでしょう。
他にも、介護する側の状況により介護をストレスと感じるかどうかが左右されることもあります。
介護を始めた頃は、時間や体力にゆとりがあても、数か月から数年続けていくうちには介護する人も歳をとります。
このようにまったく異なる2つの立場が共存する「介護」というステージ。
いろいろな原因が関係することを考えると、介護はストレスになることもあるのです。
でも、介護の経験者がいうように、初めのうちはストレスを感じても、緊張感が取れて慣れてくる時期もきます。
その日が遠くならないように、介護する側と介護される側が、双方の状況を認めることが、介護を始める第一歩です。
「知る」と介護しやすくされやすい
介護で感じやすいストレスは、介護を知ること、つまり介護の大変さを「知る」ことでしょう。
これは、介護する人にも介護される人にもいえること。
介護を知るとは、介護する側も介護される立場双方の気持ちや状況を知ることになります。
正直なところ、介護に関わるすべての気持ちや状況を理解するのはかなり難しいことです。
こればかりは、文章で読んでもインターネットで調べても、すぐに納得できるものではありません。
近道は、実際に経験してみること。
つまり、自分で介護してみたり介護されたりすることが欠かせないのです。
介護して思うことを伝えたり、介護されて感じたことを話したりすることが大切でしょう。
介護の本音を知りたいと思ったら、この方法が介護を「知る」ことになります。
介護は「千差万別・十人十色」
ただ単に必要なことをしてあげるだけではない「介護」。
寝たきりの高齢者を起こしたり、排泄の世話やオムツを変えたり。
着替えさせたりお風呂に入れたり。
さまざまな作業がある介護に、「とりあえず」マニュアルがあってもあってもその通りにいかないことも多いのです。
なぜなら「介護」とは、千差万別であり、介護する人・介護される人も十人十色。
雲のように同じ形や同じスタイルの介護があるわけではないのです。
介護をしてきた人が、数年後自分自身の介護が必要になったときに初めて、介護される側の気持ちが理解できるようになることも多いでしょう。
また、介護の必要な人でも要介護レベルが異なれば、必要な介護も変わります。
もっと重要なこととして、介護する側・される側の気持ち次第で、介護は全く違うものになることがあります。
千差万別の介護をマニュアルだけで熟すのは大変です。
介護を知り状況を認めることでストレス軽減!

高齢者を世話する施設やサービス、介護に関わる教育施設では、
介護で必要なことを認めて、必要としていることを知ることから始まるといわれています。
介護を知れば知るほど、介護するときのストレスが軽減され、
介護で必要なことを認めれば認めるほど、
負担に感じることが軽減されていきます。
既に介護をしていても介護の見直しをしてみましょう。
これから、介護が必要になるなら、まずは介護を知ってみることから進めてみませんか。